りん とは:仏様まで音色を届ける梵音具
澄んだ音色が心を清める、りん
「りん」は、お経を読む前とお経の区切りに鳴らす仏具です。これから勤行(ごんぎょう)を始めることを仏様に伝えるためや、りんの澄んだ音色で心を清め落ち着かせるため、お経の音程や調子を整えるためなどに利用されます。りんと組み合わせて使う「りん布団」、「りん棒」によって音色も変化します。最近は、モダン仏壇の進展の中で、りんをはじめ、デザイン性の高い仏具も数多く出回っています。
りんに使われる金属
りんに使用する地金は、砂張(さはり)とシルジン青銅の2種類です。ともに銅が使われていますが、音色は異なります。
砂張の歴史は古く、銅器が中国から伝えられた時代の金属です。非常に硬いいっぽうで、落とすと割れてしまうほど繊細。そしで弾力も十分あり、鳴り物には最適な銅合金です。しかし、鋳造が難しく、砂張に混ぜるすずは大変高価なため、このりんは高級品なのです。音色も単調ではなくうねりがあり、残響が長い特徴があります。
シルジン青銅は、昭和のはじめに日本人によって発明された金属です。真鍮に亜鉛を混ぜたものとケイ素でできています。普通の真鍮よりも硬くて弾力もあり、鳴りのいいりんを安く作るため、使われるようになった金属です。
よく鳴る決め手は、材質と形状
いい音色はりんの材質と形状によって決まります。りんの震える力が強いほどよく鳴ります。震える力は、硬くて弾力のある素材かによって決まります。震える力のほかに、サイズが大きくなるほど、よく鳴ります。楽器の鉄琴が長い鍵ほど低い音になるように、りんも大きく深さがあるほど音は低くなるのです。
厚さも音程に関係していて、厚ければ高く、薄ければ低い音に。音の調律は、尻張(丸くなっている尻の部分)を削ることで行います。縁の部分がもっとも厚く、尻張が最も薄い構造になっており、この尻張が音の要になります。
また、最近では家具調仏壇の普及に伴い開発され、ヒットしている「たまゆらりん」という商品も。芯棒にかぶさる形は、ユニークにして、音を最大限響かせる工夫が凝らされています。
江頭仏壇店では、実際に音色を聴いて選ぶことができます。自分と波長の合うものを楽しみながらお選びください。